コハク燈「寄せ植え vol.1」感想

あまぶん で入手した コハク燈 さんの短編集『寄せ植え vol.1』の感想です。

ネタバレはあまりないと思います。

作品の内容というよりは、読んで思ったことをそのまま垂れ流してます(紹介じゃなくて感想ですからね)。

Illustrations / Kazuho

めっちゃ綺麗。表紙の絵の緑基調に赤を添えた色合い、大好きです。

挿絵や表紙の雰囲気って作品を読むときの空気感にも影響を与えるので、同じ文章であっても全く印象が変わるなんてことはザラなんですが、コハク燈さんの小説の内容や文体にとてもぴったりだなと思っています。

水彩画の雰囲気であったり目力だったり、全体として人間(というか女性)の芯の強さ、のようなものが出ている気がします。

さすが幼なじみ三人組、といったところなのでしょうか。

瓜越さん、笹波さん、二人の小説それぞれ一つにカラーの挿絵があるのですが、作品を読んでから見直すと「ほほう」と思ったりできます。

左側!

待ち合わせ / 瓜越古真

距離感の話なのかなって思いました。

良くも悪くも「自分」を持ってる人って他人との距離感がちぐはぐで、それゆえ色々すれ違ったりしなかったりあるよねってことで。

二つの掌編で出来ている作品なのですが、その間にある「時間の経過」が見えないからこそ語れるものもあるのだなぁと思った次第です。

まぁ「こいつもう少し連絡取ればいいのに」などとは思いましたが、幸せに集約すればよいのかなって。

歩み / 笹波ことみ

たった一瞬、日常の中では淡々と流れていってしまうような場面でも、丁寧に切り取れば物語になるのだ、ということです。

黄色い薔薇にそんな可愛い名前があることを初めて知ったのですが、もしかしたらその名前にも誰かの物語が秘められているのかもしれないなって思いました。

作品のコンセプトカラー、みたいなものがあると情景が一気にカラフルになっていくよなって常々思っているんですけど、この作品は締めに向かって徐々に黄色が強くなっていく感じでした。

黄色って、あったかい光の色でもあるじゃないですか。いいですよね。

ブスになる中華 / 瓜越古真

「お前それほんと全部胃袋に入れたの!?」

というのが初見の感想でした。事前に読んだりしたことのあった作品だったのですが、これは挿絵によって少し絵の見え方が変わって面白いなぁと思えた作品です。

もともとはもっと異空間じみた内装を想定していて、さながら異世界に迷い込んでしまったOL!みたいなビジョンが頭にあったのですが、挿絵の、こじんまりとしていてそれゆえに密度の高い店内の絵によって、読むときの焦点が登場人物の動きにより絞られていった気がしてます。

百合でもいいなこれって少し思ったことを付記します。

ごめんね、煩悩塗れで。

ショコラ・ショー / 瓜越古真

挿絵のお姉さん可愛いって思いました。

めっっっっっっっちゃ甘いので、胸焼けしそうです。

「甘さ」って毒ですよね、えぇ、限度って大事だなって思います。それを自覚的に振り回す人って強いなって思いました。

「待ち合わせ」と同じように二つの掌編で構成されているんですが、シーンとシーンの間を想像させられるので、短くても作品に入り込む時間はそれなりに。

左側 / 笹波ことみ

大好き!!!

色々と湧いた感情をこの言葉で代えさせていただきました。

大好物ですね。はい。

自分みたいな人間は常に他人を警戒してるので、一周回って自分の立ち位置とか気にしなくなっているんですが、なるほどこういう「スタンス」っていうのは人の個性を反映しているものなのだなという納得がありました。

狂気と正気の違いって、なんなんでしょうね。

個人的には、周辺の環境や文脈に依存する概念だと思っているので、例えば彼らみたいな在り方は「真っ当」なものだなとも思えるのです。

ということで、最後に一句。

偶然の 回数数えて 人思い

柏崎理髪店 / 瓜越古真

爽やかですね。

もやもやを自覚した上で前に進む、みたいな語りが好きなんですけど、短い中ですごく綺麗にまとまってると思いました。

長い髪の毛って過去の象徴でもあるんですよ。

伸びてきた時間の分だけ昔を知っている。

だから、それを切り離すことが過去との訣別の比喩として使われてると思うんですが、理髪店という舞台で堂々と描けば、それ単体で一個の物語になれるんだなって感じました。

俺は黒髪ロングとかショートカットメッシュが好きですね(あえてこの作品の感想でこれを言う意味とは)。

コハク燈「寄せ植え vol.1」感想」への1件のフィードバック

  1. 感想ありがとうございます!

    かずほちゃんの絵、毎回ぴったりですよね。今回の表紙も美しすぎるし、左側の絵なんて見ただけでぞっとしますもの〜。

    「誰にでもありそうな日常をいかに物語として面白く書くか」が自分の課題のひとつです。「あゆみ」は品種の名前なんですよ!(http://tatara-zouen.com/rose/hybrid-tea-roses/あゆみ/)綺麗な黄色で可愛いバラです。

    「左側」も気に入って頂けたようで良かったです〜!
    立ち位置って結構決まってたりしますよね。なんか意味ってあるのかなあと思ったところから書きました。私個人の考えとしては榊原君は正気ですよ。

    あと、中華料理は絶対食べきれない量だと思います。ええ、間違いなく。

    奇遇ですね、私もショートカットメッシュ好きです!!(知ってる)

    いいね: 1人

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